「ミスタスに雪が降ってるですって!?」
ギルド夢闇※ゆめあんNo.1アタッカーの超・乙女、ラヴリー林檎が目を輝かせる。
「そうそう、腰までめっさ積もった雪で一面銀世界らしいぜ」
これまた夢闇を代表するギルミス超・乙女、ドレッド美咲が脇の皮脂汗を制汗デオドラントでケアしながらnewBanを林檎に投げてよこした。
しゃきーん!
newBanは林檎の必殺! 乙女一刀流♪の技で一太刀のもとに斬り捨てられた。
「うほほ〜い!」
「雪だるまなんて掴み放題!」
「掴み放題! そりゃ嬉しおすなぁ!」
「おいおい、突っ込めよ」
「メポ?」
「とにかくこのくそ熱っちい蒸し風呂小屋から出てえぜ」
ギルド夢闇は砂漠のど真ん中に建てられ、周囲を常にサソリや砂ボルテックスがうろついていた。 花の乙女達には少々過酷な環境ではある。しかし林檎はその過酷な環境の中で独自の剣技を生み出していた。名付けて乙女一刀流・くりぃむサンド……
それは斬った砂をくりぃむ状に変えてしまうという恐ろしい技で、ピラミッドに住むスフィンクスが林檎を恐れて逃げ出してしまった事はもはやBNNワールドニュースで事件として取り扱われた程の伝説である。EAJはくりぃむ砂を元通りにするために修正パッチを何度も入れなおしたが、いずれ林檎がエレインを超えるパンチラ的存在である事を信じてアカバン対象にしなかった。
「真っ白な雪に飛び散る鮮血!」
「深い雪を掻き分けながらジュカを背後から襲うスリル!」
「うおおー! みぃすぅたぁすぅ行きてー!」
意気投合した2人は騎士リコしようとしたがタイシングポイントがゼロである事に気づいた。
「ちょっと、林檎お! こないだアンクにお金振り込んでこいって渡したお金、どうしたのよ!?」
「えー? あのお金でパロキシマスディナー買って食べたじゃん。岬も美味しい美味しいって食べてたよ」
「あ、あれって林檎がボスソロで出かけて取ってきたんじゃ……それにおれの名前は岬じゃねぇ!」
美咲はリアル男丸出しで必殺技を繰り出してきた。
「力いっぱいッ鼻をプーン!!!」
ぶばっっっ!
3Dで遊んでた時は倒れるモーションをつけたのだが2Dで遊んでいる今はそれもままならない。
「ごめんね、美咲♪」
「反省してねえ!」
「あ、間違ったわ。ごめんね岬?」
「くくくく……微妙に間違うよな?」
「動揺してるのよう」
「とにかく、出かけようぜ。干からびちまいそうだ」
2人が外へ出るとスフィンクスが手下を連れて待っていた。
「今日という今日は今までの礼、させてもらうぜ」
「<○> <○>」
ギン!
林檎と目がかち合う。
「お前わ、よもや人面犬?」
「人面犬じゃねー!」
怒り狂ったスフィンクスは林檎に飛び掛った。
しゃきーん!
閃光一線……
青ざめた顔をしているスフィンクスは振り返る。
「おま、ナニ斬った? 今、ナニ斬った!?」
「ふっ、お前のこころ……」
「ぐっはぁぁぁ……林檎……ちゅわん……」
「林檎っ!」
「大丈夫よ、美咲。人面犬はもういいなりよ」
「くぃぃ〜ん」
「さあ、みんな! 雪化粧のミスタスが見たいかー!?」
わしゃわしゃわしゃ……
サソリは嬉しそうに身悶え、砂ボルテックスは砂を巻き上げた。こうして一行はどか雪埋もれるイルシェナーへと旅立ったのであった。
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