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Phantom Cat


1.

吹き荒(すさ)ぶ風に野営用のテントの天蓋がバタバタと音をたてている。
見上げた空にはモントーの街を飲み込んだ火山の濃く黒い噴煙が渦巻き、イルシェナーの広大な天空をどこまでも流れてゆく。黒い雲間から時折顔を覗かせるまだ赤みを帯びた朝日
は暗く翳った大地に はっとするほど鮮やかな光を落とすが、それも流れる雲にすぐに掻き消されてしまう。
 迷信深い戦士の幾人かはそうして所々に落ちる神々しいまでの光の滝に大いなる意思の存在を感じ、これから向う戦地での武勇の加護を祈っている。
 総勢48名の戦士達の野営地はイルシェナー人らのジプシーキャンプのすぐ近くに設営された。
初めてこの地に足を踏み入れた慈悲の神殿のムーンゲートは西方に遥か遠く…しかしそのような長旅も、信念に生きる戦士たちの士気を挫く事はない。
 異国の地にあっても日々の訓練通り彼らは手際よく野営用のテントをたたみ、様々な武具や盾を軍馬に括りつける。
 戦士たちの身につけた鎧の継ぎ目のカチカチという音が風の音に飲み込まれてゆく。
 ブリテインから派遣された戦士たちを率いるのは老練なる名士、ケルダン卿。
 ブリタニアでも名だたる現役のドラゴン・スレイヤーの1人として、エレイン女史の信任も厚い。
 ケルダン卿がこのようなイルシェナーの辺境にまでやって来たのもその腕を見込まれての事である。
 近頃、この界隈では奇怪な目撃情報が相次いでいた。
 ある特定のモンスターが大量発生し、昼日中に突如夜のような暗がりに包まれるというのだ。
 過去の事例から新たな未確認生物(UMA)の存在を懸念したブリタニア評議会は新たに結成されたUMA調査団をイルシェナーに派遣する事を決議した。
 スカラブレイのレンジャー・ラルゴ、ハートウッドのドルイド・キリリカ、ブリテインの学者・イド…彼らはまだ若いが、それぞれの所属するギルドから能力・人格ともに信頼され、推選により新UMA調査団を結成したのである。
 先の調査団の代表者がUMAのパワーを悪用した事もあり、UMAは適切な保護・監視の下に置かれる必要性がある。
 新UMA調査団がこの地に訪れ目にしたのは大量のワイバーン(二本足の翼竜。尻尾に毒を持つ)であった。
 彼らだけでは対処しきれない旨をブリタニア評議会に伝えると、評議会はすぐにダスタード近郊に駐留していたケルダン卿とその部下達を送り込んできたのである。
 事態をすぐさま飲み込んだケルダン卿は到着した翌日早朝にワイバーンの討伐に向かう事を決定した。
 年若いUMA調査団の意見はほとんど考慮に入れられなかった。
「ワイバーンどもを駆逐してUMAとやらを檻に入れてしまえば良いのじゃろう?」
 彼にとってはワイバーンなど竜のうちに入らないらしい。
 リーダーのラルゴは自然との調和を監視するレンジャーという立場もあり、例えワイバーンといえど大量殺戮はあまり好もしい考えとは思えなかった。
 しかしUMAを捕らえるためにはケルダン卿の戦力のみが頼みの綱である。
「ラルゴの気持ちも解らないではないけど…私たちだけではどうしようもないわ」
「僕たちの役目はあくまでUMAの存在の確認と捕縛ですよ。第一、どんなタイプのUMAかも全く解っていないわけだからね」
 キリリカもイドもケルダン卿に任せておくほうが今は得策であると考えているようだ。
 それぞれの思いを胸に、新UMA調査団とケルダン卿率いる部隊はジプシーキャンプより東方にある山岳地帯を目指す。

2.

 キャンプから数時間かけて平原を横断し、ワイバーンの住まう山岳地帯にさしかかる。
 右手にはTermir Flam(The Lake of Fire)と呼ばれる湖が広がり、その湖の向こうに黒々とした噴煙を噴き出す活火山が見える。
 強風が火山灰を運び、塵芥が辺り一面に雨のように降り注いでいる。
 戦士たちは旅の間中、鎧に灰が当たるカツンカツンという音を聞いていなければならず、調査隊の面々は口元に当てた布を手で押さえ、始終目をパチパチさせていなければならなかった。
 湖のほとりで馬に水をやって休ませるとゴツゴツとした岩山を登り始める。
 新UMA調査隊はこの山の中腹辺りで異常なまでの数のワイバーンの群れを確認している。
 小一時間も岩山を登った頃、黒煙の渦巻く上空から長い喉から音を搾り出したような不快な叫びが響いてきた。

「翼竜だ!」

 戦士の1人が叫ぶ。

「戦闘準備!陣形、ドラゴンランス!」

 ケルダン卿の命令に岩山の空気が引き締まる。
 戦士たちは軍馬に括りつけられた槍先が鉤状になったランスを担ぎ出し、山頂に向って構えながら2人づつ並んだ。その後ろに1人づつ 、幅広の剣を構えた戦士が控える。

「お主らは下がっておれ」

  新UMA調査隊の3人は軍馬と共に山の低い所で陣形を整えた戦士たちを見守る。

「来たぞ!」
 ワイバーンの群れが大きな岩の間を縫って駆け下りてくる。
 巨大な羽は地面に近いところでは飛行する為の約に立たない。
 彼らは上空から獲物を見つけると地面に降り立ち、羽でバランスを取りながら滑走してくるのである。
 岩山のいたるところから湧き出るようにワイバーンが長い鎌首をもたげて向って来る。
 長い槍を構えた戦士はワイバーンが十分に近づくまでただひたすら待った。
 不快な叫びを上げながら飛び掛かってきたワイバーンの首にランスを突き立てる。
 バッ!バッ!と飛び散る血飛沫(ちしぶき)を浴びながら2人のドラゴンランス使いがワイバーンの首に突き立てた槍を横に回し、後方の地面に翼竜を叩きつけた。

     ゴバッッッ!

 幅広の剣を構えた戦士が翼竜の首に刃物を振り下ろすと、激しいスバズムと共に頭部が吹き飛ぶ。
 頭部を失った翼竜の尻尾はそれでも獲物を目掛けて激しくのたうつ。
「最後まで気を抜くなっ!尾っぽは最後まで生きておるっっ!」
 無数とも思えるワイバーンの群れは十分に訓練された戦士らによって次々と屠られてゆく。
 乾いた岩山は血生臭い屠殺場と化した。
「大丈夫か、キリリカ?」
 ラルゴは血の気を失ったドルイドのキリリカに手を差し伸べる。
「ううん。大丈夫よ。でも、とても正視していられないわ」
 イドは初めて目にする翼竜狩りに学者らしい興奮を隠しきれない様子だった。
「すごい!これがドラゴン狩り…初めて見た!」
 ワイバーンの群れがあらかた片付いてきた頃、周囲が突然真っ暗な暗闇に包まれる。
 右も左も解らぬ闇の中から、熱い蒸気が戦士達に向って噴きつけられた…

3.

 空には噴煙による暗雲が立ち込めていたとはいえ、日が沈む時刻ではない。周囲を闇に包まれ突然視界を失った戦士たちの幾人かは闇雲に突進してくるワイバーンと共に岩山を転げ落ちた。
 同胞の叫びに戦士たちの間に緊張が走る。

「慌てるでない!松明(たいまつ)に火を灯(とも)せ!」

 闇の中にぽつぽつと松明の灯りが灯る。しかしどういう訳か松明のごく周辺しか明るくならず、十分な視界は確保されない。

「一体、どうなってるんだ…?」

 ラルゴやキリリカ、イドも話には聞いていたが実際にこのような暗闇を見るのは初めてであった。

「何か魔法的なものを感じる…」

 キリリカがそう呟いた時、闇の中に巨大なものが降り立つ音を聞いた。

      *ずぅぅぅんっ!*

「いかん!手近な岩陰に隠れるんじゃっ!」

 ケルダン卿の声に戦士たちは迅速に反応する。すると、すぐに暗闇の奥から高温に熱した蒸気が噴きつけてきた!

      *ボォォォォン!*

 まともに食らえばひとたまりもないような灼熱の蒸気で戦士たちのいた辺りは目の眩むような熱気に包まれる。
 蒸気の噴きつけなかった松明がゆらゆらと不安げに闇の中に浮かんでいる。
 蒸気はラルゴ達のいる所まで直接噴きつけなかったが、それでも高温の熱風に晒され一瞬息が出来なかったほどだ。

「ドラゴンだ!」

 イドが叫ぶ。

「ドラゴンが来たんだ!それも…蒸気の噴きつけてくる高さからすると相当でかい…2階建ての家一軒分位あるような…って、そんな巨大なドラゴンいるか!?」

 戦士たちは背中に回していた木で出来た背の高い盾を岩陰で構えた。
 槍を持っていた戦士も腰のブロードソードを抜き、盾を構えている。

「いるさ」

 ラルゴは一度だけ見た事のある巨大な竜を思い出していた。

「古代龍だ!」

 一瞬の静寂の後、再び高温の蒸気が噴きつける!
 視界の効かない闇と、高温の蒸気に晒されるかもしれないという恐怖心がラルゴの心臓の鼓動を早くする。まがりなりにもレンジャーであるラルゴは戦わなければならない衝動に駆られ、軍馬に括りつけていた自分の弓矢を手に取った。

「駄目よ、ラルゴ」

 脇でそれを見ていたキリリカがラルゴを制した。

「ああ。…わかってる」

 ラルゴは岩陰に戻ると上方の闇に向って目を凝らした。
 膝を屈めて岩場に手を着くと、あっ!と小さく叫んで手を引っ込めた。岩場の間には熱湯が流れていた。

「アンシェント・ウィルム(古代龍)だって?古代龍型のUMAかい?そんなの捕獲できないだろう?」

 イドが声を上げる。

「その通ぉり!」

 ケルダン卿の声が響く。

「捕獲できないのであれば…退治するまでじゃ!」

「でも、古代生物保護条令で古代龍には手出しできない…」

「馬鹿モンが!ここはイルシェナーじゃぞ!治外法権じゃっ!」

 三度(みたび)噴きつける蒸気をやり過ごすと、ケルダン卿は命令を下した。

「One Breath,Two Attackじゃ!」

 戦士たちは勇敢にも岩場から這い出てきて身を寄せ合うと木の盾を足元の岩場にしっかりと着けて固定し、ブレス攻撃に備えた。
 幾たびかの重々しい地響きの後に、ゆらりと古代龍型UMAが闇の中に現れた。

「来たぞ!構えろ!」

 古代龍は大きく息を吸い込んだ。その時…

「ケ イ ン !何をしておる!盾じゃ!盾を構えんか!」

 列を成した戦士たちの間に1人、槍を構えたままの者がいた。
 ケインと呼ばれた戦士は、はっとしたように槍を置くと背中の盾を取ろうとしたが間に合わなかった。

      *ボォォォォォン!*

 他の戦士たちは次のブレスまでの僅かの間に古代龍を攻撃した。
 しかしケインが立ち上がる事は無かった。

「かぁぁぁ〜っ!ケインめが、またしてもスティームされよってからに!」

 戦士たちは散開して巨大な龍を囲むと足を中心に攻撃を仕掛けた。
 古代龍型UMAは羽を広げ、尻尾を振るって戦士達に攻撃を仕掛ける。

「来るぞ!」

 掛け声が上がると戦士たちは盾を固定し、ブレス攻撃に備える。蒸気をまともに受けた戦士は盾ごと吹き飛ばされた。
 その間にブレス攻撃のエリア外の戦士が攻撃を加え続ける。
 ブレス攻撃の最中に龍が首を振った為に吹き飛んだ戦士たちも大ダメージを被(こうむ)ってはいない。
 包帯巻きで体力をリカバリするとすぐに戦線に復帰した。
 ケルダン卿のすぐ側に灰色をした幽霊が現れる。

「ケイン!今日はヒーラーなど連れてきておらん事はお前も十分、解っていたであろう?走れぃっ! ジプシーどものキャンプまで行けば怪しげな呪い師が蘇生してくれるじゃろうて!」

 ケルダン卿にそう言われると、ケインの幽霊らしきモノは岩山を駆け下り(?)だした。

「待って、ケインさん!こっちよ」

 キリリカが幽霊に声を掛けると灰色の物体が寄ってくる。
 キリリカが蘇生の呪文を唱えるとケインの幽霊は肉体を得て再生した。
「ありがとう。恩に着るよ」
 灰色のローブを纏ったケインはキリリカに何度も頭を下げる。
 戦士たちは執拗なまでに交互に攻撃と防御を繰り返すが、古代龍型UMAは依然として勢いを失っていない。
 幾人かの戦士に疲れが見え始めてきた。
 戦士の1人が熱した鎧で汗だくになりながら弱音を吐く。

「隊長、限界です!立っているのが…やっとです!」

「まだだ!まだ、諦めるな!足を落とせば首が落ちる!それまで攻撃の手を緩めるんじゃない!」

「そうじや、足じゃ!足を落とせぃ!」

 ケルダン卿も声を張り上げる。

「くそ!」

 1人の戦士が盾を投げ捨て、両手に剣を構えて古代龍型UMAに向っていく。

「援護してくれ!」

 とめどないブレスの応酬。戦士は右に、左に巧みにブレスをかいくぐると龍の足下に入り込み、両手の剣を振るって巨大な足の内側に斬りつけた。
 龍は怒りの咆哮を上げると、足元の戦士に灼熱のブレスを浴びせた。

4.

「おい、誰か突っ込んで行ったぞ!」

「クロゥリーだ!あいつ、ムチャな事を…」

 灼熱のブレスがクロウリーと呼ばれた戦士に襲い掛かる。
 クロゥリーはもう一度深々と片方の剣を龍の足に突き刺すと、もう一方の剣で龍の腹を裂いた。ブレスの熱に焼かれるクロゥリーに、古代龍型UMAの臓腑がこぼれ落ちる。
 片足に深々と剣を食い込ませた龍は自らの体重を支えきれず、

    *どうっ*

っと岩山を揺らして倒れこんだ。
 ここぞとばかりに群がる戦士たち。数人の戦士達にランスで長い首を固定されると驚異的な強さを誇る龍の命も終わりを迎えた。
 喜びに沸き返る戦士たち。
 今までこれほどの龍を狩った事は無い。

「クロゥリーは?」

 戦士たちが倒れた古代龍型UMAの腹を裂くと熱で焼け焦げたクロウリーが出てきた。

「クロゥリー… …ウェルダン(Well-Done:良くやった)!ウェルダン!」

「何だと…」

 クロゥリーが薄目を開ける。

「ウェルダン(Well-Done:良く焼けている)だと…俺ぁ、まだレア(Rare:生焼け)だぜ…」

 笑いあう戦士たち。

「帰ったら祝杯だ。今度はエールをお前に浴びせてやるぞ、クロゥリー!」

 遠目に戦士たちを見守っていた新UMA調査隊にケルダン卿は言う。

「残念ながらUMA捕獲には至らなかったが、脅威になる存在も消えた。我々の任務は成功だったと言えるのではないかな?」

 少し浮かない顔をしたラルゴにイドが周囲を見回しながら言った。

「しかしラルゴ、変じゃないか?UMAを倒したのに闇が晴れていかない…」

「本当だわ…」

 キリリカも不安げな様子で周囲を見回す。
 戦士たちの間で叫び声があがる。
 お互いを斬りつけあう戦士たち。

「どうしたんじゃ、貴様ら!やめんか!」

「違う、…あれはただの古代龍だったんだ…本物のUMAは、まだいるんだ!」

 戦士たちは口々に異型の化物が見えると言ってお互いを攻撃していた。

「何か、幻覚を見ているみたいだ」

「幻覚じゃと?何故、ワシらは何とも無いんじゃ?」

「恐らく、私の近くにいる人間は幻覚に陥らないわ。
 幻覚は脳内の神経伝達物質の過剰放出によって起こるの。
 私たちエルフは種族独自のバイオフィードバックで体内の異常を押さえる事ができるから、私の近くにいる事でSympathizing…共鳴運動が起こってあなた達人間の体も自然に耐性が備わっている状態になるのよ。
 UMAはたぶん、魔法に近いような体性放射物質によって個体を操る事ができるのよ。だからワイバーンも古代龍も従っていたんだわ」

「んで、今度は人間を支配しようとしているって訳か。どうしたらいいんだ?」

「まず、この闇を払ってUMAの居場所を特定しない事には…!」

 キリリカは不思議な色の宝石を取り出すと地面に円く並べ、呪文を詠唱した。
 すると見慣れぬ形の魔法陣が発生する。

「Arcane Circleよ。みんな、この上に乗って。ケインさんとケルダンさんも…できるだけ大勢の力が合わさらなければ、この闇を払えないわ!いい?

      “Myrshalee”!  」

 ラルゴは目の前に光の球が生成されるのを見た。

「みんな、目の前のその光の球を掴んで…それは内なる力を増強させるArcane Focus。闇を払うイメージを思い浮かべて!
闇を払う力を我に!

      “In Lor”!    」

 アーケイン・サークルから闇を払う光の束が頭上に向って伸びていく。

「ケルダン卿、危ない!」

 ケインは叫び声と共にケルダン卿に斬りかかってきた戦士・クロゥリーに飛びついた。

「早く、UMAを!」

 光の束は闇に穴を開け、更にその上の渦巻く火山の黒煙にも穴を開けた。
 天空の太陽の光…
 太陽の光が地上の惨状を晒しだす。
 魔法の闇は次第に晴れ、脳内物質のコントロールによって支配を受けた戦士が、支配を受けず幻覚に苦しむ同胞に剣を向けているのが見えた。 
 視界が広がり、岩だらけの山の景色が開けていくがUMAらしきものの姿は無い。

「UMAなんてどこにも居ないぞ?」

「そんなはずないわ!必ずどこかにいるはず…」

 ケルダン卿が丸腰のケインに剣を振るうクロゥリーを止めに入る。
 その後ろに、支配を受けた戦士たちが血塗れた剣を携えて岩山を降りてきていた。

「ラルゴ、キリリカ、あれを見ろ!」

 イドの指差す山の上方…彼らを斬り殺さんと岩場を降りてくる戦士たちの後ろに“晴れない闇”があった。
 それは…

「あれは…猫だ…いや、猫の形をした闇か?」

 小さな闇は岩の上でうずくまり、殺しあう人間族の様子を淡々と眺めていた。

「やるんじゃ、ラルゴォ!」

 ケルダン卿の声が響く。ケインと2人で必死にクロゥリーを押さえ込んでいる。

「ラルゴッ」

「ラルゴ!」

 ラルゴは手に構えた弓を猫の形をした闇に向けて矢を番(つが)える。
 突如として恐ろしいほどの幻覚がラルゴを襲う!

     *殺スナ!殺スナ!殺スナ!殺スナ!殺スナ!殺…*

「ラルゴッ!」

 キリリカの声が幻影を払う。猫の目がすぐ目の前に見える!

「ファントム(幻影)!ファントム・キャット!」

 ラルゴは番えていた弓を放つ!

     *ビュオッ!*

 矢は真っ直ぐにPhantom Catに飛んで行き…「ギャッ」という叫び声と共に猫の形をした闇は消えた。

「死んだのか?」

「いや、逃げたんだと思う」

 幻影のような猫の姿が消えると、支配を受けていた戦士達も正気を取り戻した。明るさが回復すると、辺り一面、屍の山であった。

「傷ついている者に手を貸せ!ケイン、幽霊どもを先導して山を降りろ!」

 ケルダン卿の声が何故か心地よく聞こえる。生きている実感。
 隣を見ると、キリリカが微笑みかけていた。
 新ブリテイン王立UMA調査隊の旅はまだ始まったばかりである。

END

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